よく業者が口にする言葉で、「お客様のために」とか「お客様の立場になって」とか、あたりまえに耳にする言葉だった。私はこのことばに少し疑問に感じるようになった。
と言うか、私の心の中にずっと、とざされていたことなのかもしれない。
ようやく会社も軌道に乗り、最近このことばが胸にこみ上げるようになり、私どもが「お客様のために」また「お客様の立場になって」何ができるのだろうか、そのことば自体にいろんな要素が含まれ、一言ではけっして言えないことでは有るがある過去の経験からわかったことがある。

それは今から20年ほど前になりますが、家業を手伝うと言うことから何となく職人になり最初は建物を造る過程がとてもおもしろく、少しずつ出来て行く姿に感動を覚えそれからずっと職人としての道を歩み、技術を磨きあげてき頃、とある建設現場で予算がないうえ工期も短く、担当者も連日徹夜状態、右も左も解らない若い私は、職人魂に火が付いたのでしょう、「よし、俺が何とかその予算と工期で納めてやるぞ」っと我武者羅に工場の壁を貼っていた。
何とか工事も最終段階を迎え、私は、工期にも間に合い施工上もなんの問題無く、予定通り工事も終わって自分なりに大満足でした。工事関係者も当然喜んでくれることと信じていました。

ちょうどその頃、最終検査で先程の担当者の上司のかたから予想外の一言があったのです。
そのことばは、こうでした「予定通り終り感謝します。だけどこの建物には心がこもってないんだよなぁ」
感謝を受けることより、心がこもっていないと言われたことにショックを受けました。
改めて今、考えて見ると、それは「お客様のために」と言うより「企業のため」だったのです。

マスコミなどで報道されている耐震偽造・BSE(牛海綿状脳症)問題・その他諸々 本当の意味で「お客様のために」「お客様の立場」と言うものはどこにあるのだろうようするに企業は自己満足にしかすぎないと言うことです。

当然のことながらお客様も企業も、時間とお金は大切ですが私たちが考えなければいけないのはお客様が求めている想いではないでしょうか。 お客様一人一人、違った想いがあると思いますが、リフォームを通じてそれぞれのお客様の想いを形にできたらと言うのが私の願いです。

株式会社コーワメタル 代表取締役社長 市川 浩
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